80年代後半、日本国内でもテーブルトークRPGの隆盛にともない、メタルフィギュアの一時的なブームがありました。その当時のメタルフィギュアの主な素材となっていたのが、『ホワイトメタル』という軟質・低融点の合金です。
現在はPK法の関係もあり、似たような質を持つ『ピューター』を主な成形素材とするメーカーが増えました(特に米国メーカーや米国を主なターゲットとするメーカーは、基本的に『ピューター』を主材料としています)。コレは『ホワイトメタル』に含まれる“鉛”の成分故のことです。『ピューター』は、環境衛生と人体への影響を危惧しての代替素材…といったところでしょうか。(鉛を含んだ『ピューター』も一部存在します。“LeadFree”などの表記の無い商品についてはご注意下さい!)
≪左:ホワイトメタル/右:ピューター≫
ホワイトメタルの方が黒っぽい感じですね。
共に見た目の違いは【色・艶】程度で判断しにくいですが、その“質”は大幅に異なります。たとえば、『ホワイトメタル』は手で簡単に曲がってしまいます(大型ムクのミニチュアは、自重で歪んでしまうほどです)が、『ピューター』は比較的硬く、曲げる際には「ギシギシ」音がしたりちょっとした気合が必要です。
また、成型状態を見比べると解ると思いますが、『ピューター』製品の方が湯口(バリ)が非常に多くなっており、空気抜きの穴に入り込んだバリも多数あります。コレは、素材の“流動性”の違いから発生しています。
≪ピューター≫
バリが多く見られます。何故か要らないのに集めてしまう人も多いのでは?(笑)
『ホワイトメタル』に比べ『ピューター』は、流動性に欠ける素材なのです。細かなフィギュアのモールドを再現するための、苦労の表れでしょう。(流動性は…レジン>ホワイトメタル>ピューターとなります。)
しかし、共通点もあります。金属(合金)の中でも、融点が200〜400℃程度と低いのが特徴です。また、共に所謂“サビ”は発生しませんが、“酸化膜”(コレもサビの一種ですが・・・)が発生します。塗装の前・未塗装で長期間展示する場合には、必ず【表面処理】をしましょうね。
参考資料
■ホワイトメタル■
・錫(すず)を主成分とした、鉛を含む合金。
・流動性が比較的高く、細かなモールド(彫刻)を表現するのに有効。
・同じ『ホワイトメタル』と称されるものでも、成分比率は各社色々です。
■ピューター■
・「しろめ」と呼ばれる合金
(シタデルは“シタデリウム”、旧ラルパーサは“ラリジウム”などの固有名称を付けてたりします)
・流動性は高めではあるが、ホワイトメタルには劣る。
・流動性を上げるため、アンチモン・鉛などを含むケースもあり。(“leadfree”の表記が無い限り鉛を含む素材だと思って下さい)
・硬さ・再現力とも、各メーカー毎の成分比により大きく差がある。
■レジン■
※ レジン製ミニチュア製作講座を参照して下さい。
|